【ライナーノーツ】75

製作に着手したのは17年末頃から。

『ふたりの強み(=コーラス)』、『ワルツ』、『シンプル』を念頭において書き始めたが、4分の3拍子の4分の3が、頭の中で100分の75に変換されたときに、色々なものが頭の中で繋がって、現在に至る。

昨年夏に祖母が居る鹿児島に10年ぶりに行ったのだが、その時に祖父が81歳で死去した事を思いだし、『物心があったのが75年間くらいかな』とか、『誰かのことを75%も思うことが出来たら、人間として幸せかな』とか、そんな事が巡りめぐって『失恋』とかかそういうよりももっと大きい『喪失』のようなものをテーマに描くことになった。

サビは珍しくメロディからできたのだが、言葉を探すのに全然苦痛を感じなかった。ストン!っとはまってくれる歌詞が降りてきてくれると、気持ちのノリが全然違ってくる。

鍵盤が入るときは、ハープシコードのシミュレータを用いる。どれだけ力をいれても一定の音量でしか鳴らない不思議な音色は、有機的な無機質とでもいうか、ナチュラルな残酷さとでもいうのか、セピアのイタリア映画みたいなイメージを一瞬で捕まえて来てくれる。


2サビの『大好きでした』は、祖父の出棺の際に、祖母が棺に記した別れの言葉より引用した。 

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